計画の背景として、ご夫婦ともリモートワークが多くなり、ライフスタイルの変化に合わせて、静かで環境のよい逗子にというお考えで住まいを移されました。

外観はシンボルツリーが映えるシンプルな佇まいとし、１階には吹き抜けのキッチンとリビングと水回り、２階は寝室という構成です。建物の中央に目抜通り（廊下）を配置し、わかりやすく無駄のない動線計画を心掛けています。

お施主様の１つ目のご要望は、「玄関周りは、開放感は欲しいものの、リビングルームやキッチンを直接見せたくない」「リビングルームには大きな吹き抜け」というものでした。
そこで、玄関に立ったときに、視線がちょうどリビングルームとキッチンのあいだの緩衝帯を抜け、プライバシーを守りつつも伸びやかな奥行きを感じられる計画としました。また、直接的ではないものの、リビングルームから漏れる光により奥にある空間のボリュームを感じられるよう（＝限られた空間の中で拡がりを感じられるよう）工夫を凝らしています。
玄関から建物の中央をすっと貫く目抜通り（廊下）は、天然木レッドシダーの板張天井をアクセントとして、品格や期待感を高めるデザインとしました。この廊下を通って次第に内部に導かれると、吹き抜けの開放的なリビングルームが立ち現れます。

２つ目のご要望は「明るすぎない吹き抜けのリビングルーム」というものでした。
まずは、吹き抜けの形状をコストバランスも考慮し片流れ天井としました。窓の開口はソファ周りにポイントを絞るとともに間接照明を合わせることで、斜めの天井に光が優しく伝う、ほの明るい光環境のリビングルームを計画しました。
（お施主様からは、廊下の板張天井は、リビングルームから見ると昔の家の梁みたいにどっしりと構えた印象で良いね、とおっしゃっていただいています。）

３つ目のご要望は、「お２人お書斎スペースを作る」というものでした。
そこで、お２人のお仕事のスタイルもお伺いしながら、ご主人の書斎は２階の寝室の横に閉じられた書斎、奥様の書斎は階段周りに開かれた書斎を計画。奥様が気分転換にダイニングテーブルでもお仕事ができるように、コンセントの位置等にも配慮しています。

その他の収納や動線に関しては、「ラグビーが大好きなお子様がどろんこで帰ってきても良いような動線計画にしたい」「将来的にアウトドアを楽しみたいのでシューズクローゼットが欲しい」というご要望を踏まえて、お庭からお風呂場に直接アクセスできるような勝手口を計画。また、玄関・シューズクローゼット・パントリー・キッチンは回遊性を持たせる計画とし、たくさんの荷物を持って帰宅した際にも使い勝手が良いように工夫しました。

快適で安心な住環境づくりとして、
高気密高断熱＋第一種換気を採用、耐震等級３を取得しています。
（断熱材はセルロースファイバー、窓サッシはアルミ樹脂複合ガラス）

〈概要〉

敷地面積｜168.28㎡
延床面積｜99.52 ㎡
１階床面積｜55.83 ㎡
２階床面積｜43.66 ㎡
所在地｜神奈川県逗子市
クライアント｜３人家族
基本設計｜アトリエM.A.R. +宮本善州 
実施設計｜アトリエM.A.R. +宮本善州  
施工｜有限会社神崎
竣工｜2022年3月