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2023.02.24

アフターコロナにおける住まい方の変化

最近ではコロナ禍での制約が多い生活に出口が見え始め、マスクが取れる日を待ち望んでいる人も多いと思います。コロナ禍は住まいの選択にも大きな影響を与えました。以前にも増して、立地条件や住環境を重要視する傾向が高まっています。コロナ禍による価値観の変化から、住まい方ポイントを考えてみます。

【ポイント】

・この10年で居住面積は1割減少、価格は1300万円上昇
・コロナ前に比べると郊外都市に人口流出
・在宅ワークの定着で居住面積と立地条件の選択肢が多様化
・同じ面積でも収納を工夫する事で広く住む

①この10年で居住面積は1割減少、価格は1300万円上昇

2023年2月20日の日経MJによると、マンションの住宅面積の全国平均は64.7㎡(2021年度)と10年前に比べて約1割減少しました。戸建などを含めても6%減少となっており、居住面積の縮小は全体的なトレンドとなっています。一方で、コロナ禍では家の中で過ごす時間が増え、外出制限による買いだめや急増したECでの買置きを収納するスペース問題は以前よりも深刻になっています。しかしながら、全国の新築マンションの販売戸数は減少傾向であり、販売価格は10年連続で上昇しています。駅前や中心部にある高層マンションが価格を押し上げている状況です。価格上昇の原因としては、土地価格の上昇に加え、人件費や円安を背景とした資材価格の上昇などがあります。不動産業者は、すぐに売り切れなくとも時間をかけて販売する戦略に舵を切っており、販売価格が下がる兆候は見られません。

出典:住宅金融支援機構フラット35 

②コロナ前に比べると郊外都市に人口流出

コロナ禍において、これまで東京一極集中だった人口流入の傾向に変化が見られました。コロナを期に東京の特別区を中心に人口流出が進み、若者を中心とした20代から30代の年齢層で東京から流出する傾向があります。これは、進学や就職先として東京を選択しなかった若者の他に、コロナによる環境変化で子育て世代が東京ではなく東京郊外に引越した影響などが考えられます。それでは、東京を選択しなかった若者や郊外に引越した子育て世代はどの様に住まいの選択を考えているのでしょうか。

出典:三菱UFJリサーチ&コンサルティング:コロナ禍の2年間の東京の人口動向とポストコロナのまちづくり

③居住面積と立地条件の選択肢が変化

コロナ禍による経験を踏まえて「住まいの選択」が大きく変化したのは、以下の2点です。
・在宅ワークができるプライベートな空間の確保
・オフィスではなく駅からの通勤のしやすさ

一つ目は、居住面積に影響する変化であり、在宅ワークしている子育て世代は間取りに対するニーズが変わってきました。間取りの変化については、プライベート空間の確保だけでなく室内環境やインターネット環境へのこだわり、出入り口の近くには手洗い場を確保するなどの配慮などへのニーズが高まっています。二つ目は、立地条件に影響する変化であり、コロナ起因による都市郊外への引越しに伴うニーズであると考えられます。まとめると、「近年、駅チカなど立地条件から住居地を選択するため、住居面積は縮小しているもののプライベート空間や収納空間の確保に対するニーズはより高まっている。」その様な空間作りへの工夫を考えてみましょう。

出典:三菱UFJ銀行:住宅購入を検討している20代~40代の400名を対象に、コロナ禍で住宅購入に対する考え方がどのように変わったのかアンケート調査結果

④同じ面積でも収納を工夫する事で広く住む

居住面積を有効利用するための鍵は、収納スペースの取り方です。収納スペースは、人が活動できる場所ではないため、スペースを取りすぎると狭く感じてしまいます。一方で、収納スペースが無いと入居後に家具などを購入して配置する事となり、結果として収納スペースがある建物より煩雑なスペースや動線計画となってしまいます。現に、収納は居住面積の15%程ないと使いづらい建物となってしまう可能性があるのです。

これまで弊社と関わりのある10戸の戸建住宅のサンプルを平均すると、全体の床面積に対する収納の割合は6~14%でした。ここが何%くらいが良いかというのは、お施主様の家族構成やライフスタイル、性格によるところも大きいですので、あくまでも参考値です(「収納」とは収納のための区画・造作棚・部屋のこと)。おすすめは、購入前に収納スペースを考えた条件設定をしておくことです。

1)居住面積として面積参入されない高さ1.4mスペースの『タテ収納』

出典:積水ハウス総合住宅研究所

新築マンションなどは購入条件から、新築の設計・施工では基本設計の段階から考えた方が良い理由は、屋根の空間や天井上・床下などの余剰空間を利用した縦方向の収納(タテ収納)、いわゆるロフトの確保のためです。スペースの位置や高さ1.4m以内とすることなど制限はありますが、計画の工夫によっては、確認申請上床面積に含まずに空間を意図的に作り出すことができるのです。ミサワホームはこの1.4mスペースを意図的に作り出した「蔵の家」という住宅を1994年から発売しています。ミサワホームは、「木質パネル構造」により構造的な自由度が高く大空間が構築可能なため、空間の一部に1.4m未満のスペースを作り出して「蔵」としてブランディングしています。

アトリエM.A.R.が設計している「トシログハウス」では、パネルログを使った大空間を構成し、『タテ収納』を4坪計画しております。土地の制限通りに計画すると31坪のところ、『タテ収納』を含めると合計33坪の施工面積を計画することができました。

出典:ミサワホーム

2)コンパクトに収納可能な『アウトドアインテリア』の採用

近年、注目されているアウトドア用品のインテリア使いですが、アウトドアインテリアには大きく分けて二つのスタイルがあります。一つ目は、室内にアウトドアで使われていた家具やアイテムを取り入れて、ファッショナブルに楽しむインテリアスタイル。もう一つは、ベランダなどの半野外スペースにアウトドア用の家具や照明など、インテリアアイテムを設置して、室内に似た生活を過ごすスタイル。さらにその二つを融合させて、屋外・室内に繋がりを持たせ、両方の空間を楽しむケースもあります。

必要な時には展開して利用し、広いスペースが必要な時にはコンパクトに収納してスペースを有効利用する。そんなアウトドアインテリアを採用するのもおすすめです。

※ご参考までに、アイキャッチの写真は、階段を開放的に計画し書斎スペースを併設した事例。お施主様は、アフターコロナ後により環境の良いエリアに引っ越すことをご決断され、ご夫婦お二人ともテレワークする想定で、収納スペースより居住スペースの優先順位が高いご計画となりました。もともとミニマルなライフスタイルのご家族でしたので、タテ収納はあえて設けず、収納の割合は全体面積の8%程度にとどまりました。

ご計画はいつの間にか始まっているもの。

ちょっとした疑問やご不安、
まだ遠く将来の夢、
まずはお聞かせください。