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2022.11.12

低金利住宅ローン時代の終焉

不動産投資の割引率にも使われる10年国債の金利が上昇局面に入っています。今後、住宅ローンを活用して購入予定のあるご家庭に向けて、住宅購入にあたっての留意点についてお伝えしたいと考えています。

■住宅ローンの融資残高が膨張!?

11月6日の日経新聞に「住宅ローン膨張220兆円 金利上昇にリスク」という記事が出ました。

(記事のポイント)

・日本では住宅ローンの融資残高が膨張、ローン需要が旺盛だったバブル期に比べて倍増し、2022年度6月末には220兆円を超えた。

・住宅の資産価値は伸び悩んでおり、返済に行き詰まって売却しても負債が残って家計が破綻する恐れあり。

・住宅購入の中心層である30・40代のローン残高は上昇しており、変動金利型を選ぶ人ほど高額なローンを組む傾向がある。変動金利が0.1%上昇すると国内家計全体で1100億円の利息負担。

出典:日経新聞 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO65762650W2A101C2MM8000/

■日本における住宅の資産価値

日本に対して米国でも近年、ローンが急増して残高が伸びています。しかし、米国ではそれ以上に住宅の資産額の伸び率が大きいことから、売却により負債を返済しただけでなく更に売却益も手に入る可能性があります。

なぜ日本と米国でその様な違いが生まれるのか。

ポイントは、日本における住宅に対する価値観の違いが影響していると考えられます。

日本は住宅市場における中古シェアは15%ですが米国は80%もあります。日本は新築志向が強く中古は修繕しても売却価格に反映しにくい傾向が見られます。日本は住宅は資産ではなく消費財と同じ捉え方をされています。

日本の中古住宅はレモン市場※1です。また、償却が終わった住宅部分の価値はゼロであり、中古価格は(土地価格)ー(撤去費)で算出されます。中古車市場と違って流動性が低く中古住宅が売却できない場合は、建物を撤去して更地で売出した方が良いと判断されます。その結果、老朽化しても放置され空家となって放置されるケースが増えています。

※レモン市場:経済学において、財やサービスの品質が買い手にとって未知であるために、不良品ばかりが出回ってしまう市場のことです。

出典:国土交通省 中古住宅市場活性化ラウンドテーブル 平成25年度報告書(案) 附属資料

■住宅を資産として価値形成するには

ローン返済中に売却せざるを得なくなった中古住宅に価値を認めてもらうにはどうすれば良いか。ポイントは3つあります(マクロからミクロ視点で記載してます)。

(1)国による中古住宅ローン控除の拡大(ストック型社会への変換)

新築の認定住宅では住宅ローン控除が最大450万円程度に比べて、中古の認定住宅では200万円程度となっています。中古の認定住宅化についてはコストがかかることから認定住宅での流通に対する売主のコストパフォーマンスが問題になります。一方で、今年から宅建業法の改定でインスペクションの結果について重要説明事項の一つとして説明義務が追加されました。

→宅地建物取引業法の改正で建物状況調査の告知・斡旋することが義務化(令和4月1日から)

https://www.reform-online.jp/news/reform-shop/12949.php

→中古住宅を取得した場合の所得税控除(住宅借入金等特別控除)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1214.htm

(2)住宅事業者による中古住宅の性能指標に基づく市場の透明化

住宅事業者により中古住宅の売買に関する性能指標並びに中古住宅プラットフォームの確立が必要です。個人間の中古住宅の取引は売買瑕疵保険という仕組みがありますがあまり普及していません。

→既存住宅売買瑕疵保険の適用拡大

https://www.kashihoken.or.jp/individuals/kizon/kizonbaibaikojin.html

→リバブルあんしん仲介保証

https://www.livable.co.jp/baikyaku/anshin/top.html

(3)個人による資産価値が残り易い住宅を選ぶ選択意識

中古住宅市場が成熟していない日本での防衛行動として「資産価値の残りやすい住宅」の取得を意識しておく必要があります。例えば、ブランド力のあるハウスメーカーの商品を購入する事も有効です。パナホームをはじめとする大手ハウスメーカーが共同して「スムストック」という中古住宅の販売プラットフォームを運営しています。しかし、こちらに登録するには限定されたハウスメーカーの建物だけが対象となる上、長期保証が必要になるためお金がかかります。そうではない選択肢としては、優良な工務店や設計士にお願いし性能とデザインの良い建物をコストパフォーマンスを重視して設計・施工すること、並びに大切にメンテナンスしながら使い続けていくことで、建物の価値を下げることなく売却することが可能になります。

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