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2023.01.19
地業・基礎(配筋)No.1-5
この記事の目次
1、住宅工事の全体の流れ
2、動画でサクッと見学、住宅工事
3、地業・基礎(配筋)のお話し
4、この工事で設計者が確認していること
5、この現場の独特なポイント – トシログ モデルハウス
1、住宅工事の全体の流れ
この記事は以下の流れの中で、★印の工程についてです。
1)事業・基礎(遣り方→根切・地業→型枠→捨てコン→★配筋→スラブ基礎→立上り基礎)
2)建方
3)屋根
4)木工事
5)外部サッシ
6)配線配管
7)各職人工程
8)外構
2、動画でサクッと見学、住宅工事
タイトル:地業・基礎⑥(配筋1・2日目)※ご注意:音声あり!
タイトル:地業・基礎⑦(配筋3日目)※ご注意:音声あり!
タイトル:地業・基礎⑧(配筋検査)※ご注意:音声あり!
3、地業・基礎(配筋)のお話し
まず、木造では「布基礎」「べた基礎」が一般的ですが、今回は「ベタ基礎」。捨てコンクリートに、墨出し(基礎芯など基準となる印をつける作業)を行なって始まります。
工務店さんの協力業者の基礎屋さんが直接行うこともありますが、今回はお忙しかったようで、さらにその協力業者の鉄筋屋さんにお越しいただきました。お一人で黙々と3日間、あっという間に複雑な鉄筋が組み上がりました!
配筋1日目:全体的に鉄筋を並べていき、基礎立上がり部の配筋から組み上げます。スペーサー(通称縦筋フック)を入れて、コンクリートの厚みである「被り厚」を確保します。
配筋2日目:床部分である水平なスラブ筋の配筋を行なっていきます。捨てコンクリートとの間に、スペーサーブロック(通称サイコロ)を入れて、「被り厚」を確保します。
配筋3日目:全体的に仕上げていきます。このあとコンクリートを打設しますが、その際に流動の重みで鉄筋が動かないように、鈍し(なまし)鉄線で鉄筋同士を緊結します。
4、この工事で設計者が確認していること
・コンクリートの厚みである「被り厚」:コンクリート表面と鉄筋の間のコンクリートが厚みのこと。これは鉄筋の強度、酸化を遅らせる耐久性にも重要な意味を持ちます。
・鉄筋どうしの「定着」:重ねる長さのこと。鉄筋の長さにも限度がありますので、接続部分である「継手部」は基準となる長さ分を重ねる必要があります。また、スラブ部と立上り部が交差するポイント、建物の四方の角で立上り部の主筋同士が交差するポイント等、「隅部」については注意が必要です。
・鉄筋どうしの間隔や数量:構造図との照合を行います。スラブ部分の鉄筋の間隔がバラついていないか寸法を確認します。基礎梁は特に複雑なので、数量が正しいか等念入りに確認します。
・貫通口周りの補強筋:配管スリーブなどで基礎を貫通していくスリーブがある場合、その周辺の補強が適切か、スリーブが密集する範囲はスリーブ同士の間隔が正しいか確認します。
・基礎と柱を緊結するためのホールダウンアンカーボルト。位置や埋め込み深さが適切か図面と照合、鉄筋と結束されているか確認します。
・自治体によっては、中間検査が必要な場合があります。中間検査の時期によっては、既にコンクリート打設後の場合もあり、そうすると鉄筋が見えなくなってしまうので、このタイミングできちんと写真撮影をしておきます。
5、この現場の独特なポイント – トシログ モデルハウス
構造計算によりスラブ部はダブル配筋、基礎梁部はボックス配筋としています。一般的な住宅は、それぞれシングル配筋ですが、この部分だけ2倍の鉄筋量となっております。理由としては、耐震等級2を取得していることと、スキップフロアや大空間など構造上工夫が必要な空間構成となっていることなどがあります。もう少し深掘りすると、構造設計の際に、木造住宅で一般的に行われている簡易な「壁量計算」ではなく、今回は構造設計士による「許容応力度計算」を行なっており、それぞれの計算方法で構造上のバランスの考え方が異なります。「許容応力度計算」では、「壁量計算」の考え方にはない、床の「剛性」を考慮する必要があり、その結果一般的な木造住宅とは異なる配筋となっています。
【現場のご説明】
高性能でコスパの良い 「都市型のログハウス」を作れたら。無垢材の木の恩恵・ぬくもりに包まれる住み心地を、山や海辺の暮らしだけでなく、都市の暮らしといった多様なスタイルのある暮らしに馴染むように。私たちは “トシログ(都市ログ)” という愛称で、このプロジェクトを育てています。
2021年春、アトリエM.A.R.で「都市型のログハウス」一棟目の構想が始まりました。福島県会津の地で芳賀沼製作さんのパネルログ構法との出会い、都市に馴染む性能とデザインの検討、ウッドショック等でのコスト・計画変更、初めての構法による工事に試行錯誤すること2年半、チームの技術と熱意を詰め込んでいます。