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2024.10.11

社会問題「空き家」の制度とご相談窓口

(1)社会問題「空き家」の現状

2023年に「空き家対策特別措置法」が新たに整備されました。

背景として、この20年間で空き家は1.9倍に増え、2024年4月時点で約900万戸、遅々として進みません。1998年ごろから「空き家バンク」が整備され、2015年空き家対策特別措置法が制定されましたが、語弊を恐れずにいうとこの制度は失敗したと言えるかと思います。

これまでの制度のまま自治体に任せていても、空き家に関するクレーム処理で手一杯。不動産屋産に任せていても、空き家は大した仲介手数料にならないため儲かりません。これまで意味がなかったのも頷けます。マイナスを0にするのが関の山。空き家を活用しようなど、ポジティブな動きが芽生えるはずもありません。

このまま空き家が増えれば、植栽の越境など衛生や環境劣化、倒壊などの安全性低下、不審者・放火など犯罪への不安、コミュニティや不動産価格の下落などへの悪影響などの問題が生じます。今後、地方の空き家の数は高齢化と共に加速して増えます。空き家における問題は地域課題であり社会課題です。

(2)新制度の背景

さてここで、唐突ですが、クイズです。こちらは交通事故の減少率のグラフです。20年前から交通事故が減少しているのはなぜだと思いますか?

【大転換1 昭和45年】

道路整備,信号機,道路標識等の交通安全施設が不足していたことはもとより,車両の安全性を確保するための技術が未発達だったため、交通安全対策基本法が制定され,国を挙げての交通安全対策が進められた。

【大転換2 平成14年】

飲酒運転罰則強化の動きがありました。一番大きく変化したのは基準値です。 これまでは呼気1リットル中のアルコール量が0.25mg以上の場合に罰則がありましたが、この改正により、0.15mg以上で罰則が科されることとなったそうです。

答えは、罰則を強化したからです。

交通事故に限ったことではなく、空き家対策も罰則を強化すれば良いのではないか?!

そろそろお察しかと思いますが、今回の2023年の「空き家対策特別措置法」では罰則が強化されました。所有者の責務の強化がなされ、空き家の管理の努力義務から、国や自治体の施策に協力する努力義務に変わりました。「自治体」や「不動産屋」任せにせず、「民間」の力を活用できる仕組みに変わりました。

(3)新制度のポイント

空き家の定義:賃貸として貸し出しもされていない住宅(集合住宅は1部屋を1戸と数える)

ステージ1:「管理不全空き家」=1 年以上誰も住んでいない、ステージ2への予備軍

ステージ2:「特定空家」=倒壊危機や不法投棄の温床となっているなど近隣に悪影響を及ぼす空家

ポイント1、「管理不全空き家」への対応強化

命令に応じない場合は行政代執行も可能、特例措置の対象外となり、固定資産税も最大6倍になっていましたが、それを実施しない自治体が「7割以上」でした。

この適用範囲を「特定空き家」の予備軍の「管理不全空き家」にまで拡大し、同様の厳しい対応をするようにしました。

ポイント2、「特定空き家」への勧告・命令等の円滑化

「自治体」のみでは難しいので「民間」と連携することを目的に「空き家管理活用支援法人」を自治体が指定が可能に。

その指定を受けた団体には以下を実施することになります。
・空き家等の活用に関する情報の提供
・空き家等の活用に関する相談や支援
・空き家等の活用に関する助成

ポイント3、「空き家等活用促進区域」制度の創設

市区町村に対し、空き家の活用を促進するために、自治体で空き家等活用促進区域でに用途地域等の変更を自治体主導で可能に。

(4)「空き家」にお困りの所有者様へ

罰則の強化に期待!とはいうものの、現実的には皆様色々な事情があるかと思います。
・相続:放っておいても自分に回ってきた役回り、手続きに時間がかかる、関係者が複雑・・・
・老朽化:建物をどうしたら良いのか技術的に相談できる人がいない
・人口減少:流通先・活用の糸口が見出せない

そんな時、、、!

私もライフワークとして所属し仲間と共に活動している全国古民家再生協会。この協会は古民家も含めて空き家の問題に取り組んでいます。管理に困っておられる方への無料相談・自治体との活動実績が多数あります。少しでも困っておられましたら、まずはお気軽にご相談ください。きっと何かの糸口が見つかるはずです。

一般社団法人古民家再生協会(傘下となる、一般社団法人空き家アドバイザー協議会)
公式ホームページリンク

空き家バンク(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_tk3_000131.html

令和5年住宅・土地統計調査(総務省)
https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/pdf/g_kekka.pdf

ご計画はいつの間にか始まっているもの。

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