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2026.06.15
カーボンクレジットが広がると社会はどう変わるのか Page.3
この記事はPage.3です。(全部で記事は4つです)
Page.1 カーボンクレジットとは
Page.2 市場の誕生(国連・日本)
Page.3 市場の成熟(品質強化・企業の動向)
page.4 私たちの暮らしが変わる(山林や地域、家づくり)
(1)「量」から「質」へ ― カーボンクレジット市場の次の課題

国際市場の整備が進み、カーボンクレジットの取引量は今後さらに拡大すると予想されています。しかし市場が成熟するにつれ、企業や投資家の関心は「どれだけ多くのクレジットがあるか」ではなく、「そのクレジットは本当に信頼できるのか」へと移っています。
その背景には、これまでのカーボンクレジット市場が抱えてきた課題があります。
例えば、
- 本当にCO₂削減が実現したのか
- クレジットがなくても実施された事業ではないか
- 地域住民や生態系に悪影響を与えていないか
といった点です。
近年では、こうした問題を防ぐために「セーフガード(保護措置)」の重要性が高まっています。
(2)CO₂だけでは評価されない時代へ

2026年2月に公表された自主的炭素市場(VCM)に関するレポートでは、
「環境や社会への配慮が、単なる認証取得のための形式的な要件になっていないか」
という問題提起が行われました。
これまでの市場では、CO₂削減量という数値が重視されるあまり、
- 地域社会への影響
- 生物多様性への配慮
- 森林保全の実効性
などが十分に評価されていないケースもあったと指摘されています。
今後は、単に炭素を削減するだけではなく、
「何を守りながら削減したのか」
が問われるようになります。
※VCMとはVoluntary Carbon Market(自主的カーボンクレジット市場)です。
前回説明した、JCM、PACM、排出量取引制度は、比較的「政府ルール」です。一方VCMは企業が自主的に「CO₂削減に貢献したい」として購入する市場です。
(3)国際基準も大きく変わろうとしている

こうした流れを受け、2026年は温室効果ガス算定ルールやネットゼロ認証基準の見直しが相次いでいます。
GHGプロトコルやSBTi、ISOといった国際的なルール整備が進み、
企業は
「とりあえずクレジットを買えばよい」
という考え方から、
「科学的根拠のある高品質なクレジットを選ぶ」
ことを求められるようになります。
つまり企業の脱炭素戦略は、
クレジット購入中心の時代から、自らの事業活動そのものを変革する時代へ移行しつつある
のです。
※GHGプロトコルとは
世界共通の「CO₂の家計簿」です。企業は、どれだけ排出したか、削減したか、をこのルールで計算します。
※ SBTiとは
企業が「2050年までにネットゼロと言うだけではなく科学的に妥当かを認証する仕組みです。今後は「なんとなく環境に良い」では認められません。
(4)Amazonが示す新しい方向性

こうした変化を象徴するのがAmazonの取り組みです。
Amazonは、自社だけでなくサプライヤー企業の排出削減を支援するため、高品質なカーボンクレジットの提供を拡大しています。
面白いのは、オフセットではなく(外部から埋め合わせるためにクレジットを購入)、インセット(自社のサプライチェーンの中で削減)を基本にしていること。
重要なのは、単なる排出量の相殺ではなく、
- 排出量の測定
- 削減計画の策定
- 実際の削減行動
を前提にしていることです。
つまり、
「まず削減し、それでも残る排出量を補完する」
という考え方が主流になりつつあります。
(5)自分ごと、として考えてみると(弊社の事業)

「質の高いクレジット」とは、最終的に
- 森林が適切に管理されているか
- 生物多様性が守られているか
- 地域経済に利益が還元されているか
という評価に行き着きます。
これはまさにトシログが掲げる
「山から始まる家づくり」
「森林・地域・住まいをつなぐ循環」
と重なるテーマです。
参考記事:
NCCC(ナチュラルキャピタルクレジットコンソーシアム)
https://nccc.earth/
JCMについて(環境省)
https://www.env.go.jp/earth/jcm/